プーアル茶について
プーアル茶は熟成により緑茶やウーロン茶には無い個性的な風味と茶の気があります。香りで例えるなら、一般的に緑茶は草や豆、烏龍茶は花や果実、そしてプーアル茶は土を連想させるような香りと言えます。このプーアル茶特有の香りのことを一般的に「陳香(ツンシャン)」と呼びます。
最初は、特有の香りや味わいが苦手な方もいらっしゃいますが、飲んでいくうちに癖になり毎日飲まずにはいられなくなるのが不思議。「後発酵」が作り出す奥の深い味わいで脂っこい食事にもよく合います。


歴史
プーアル茶の歴史はかなり古く2000年以上あるといわれています。
歴史書に始めて記述されたのは唐の時代であり、明以降に広く知られるようになりました。
「プーアル」の名前の由来は雲南省南部のプーアル県で採れたお茶ということから「プーアル茶」の名前で呼ばれるようになったといわれています。しかし、その後すぐに「プーアル県」での茶栽培は衰退し、代わりにプーアル茶の集積地・市場として有名になります。
唐時代から始まった茶のシルクロード版ともいえる「茶馬古道(ティーロード)」はプーアル県を出発点として辺境のチベットなどに向かう交易路のことです。この交易の目的は漢民族の茶と遊牧民族の馬との交換でした。

産地
プーアル茶は中国大陸の四川省・広東省・湖南省・雲南省一帯で生産されています。なかでもやはり雲南省が群を抜いて生産量が最も多く有名です。

気候(雲南省)
海抜1000m~2000mの亜熱帯地域。
約6~7割が森林で山との高低差が多く、
年平均気温は15~18度と年中温暖。
雨季は4月~10月で年間降雨量約1700-2100ミリ。
高等植物の種類は約500種、樹齢が数百年もする茶樹があり 樹齢約1700年の古樹なども存在しまさに「植物の楽園」です。
この地域は茶樹の生物学的ルーツとしても有名で、ここを起源に茶は様々な品種に派生しているそうです。

原料
主に中葉種、雲南大葉種を使用。
大葉種のものは他に比べ、ポリフェノール(カテキン類)の含有率が多い上に味も良い
*茶摘は年3回(春/夏/秋)されます。
淹れ方
「淹れ方」
①急須を温め茶葉を入れます(お湯の温度95℃〜100℃)
②約3gの茶葉を急須に入れ茶葉にさっと熱湯をかけ、すぐにお湯をすてます(洗茶)。 (*洗茶とは:長く寝かした茶葉のほこりを落とし、茶葉を開かせ、味・香りを引き立たせる作業のことです)
③飲む量だけの熱湯を注いでお好みの水色がでたら茶杯に最後の一滴まで注いでお飲み下さい。(プーアル茶は抽出されやすいので、何分も蒸らす必要はありません。一煎目は数十秒で結構です)
「飲みやすくするコツ」
プーアル茶が苦手な方へ
基本的に上質なプーアルは非常に飲みやすいものですが、どうしても苦手な方は以下のいずれかの方法をお試し下さい。
・1煎目、2煎目は飲まずに捨て3煎目から飲むようにする
・ヤカン等に少な目の茶葉を入れて煮出す
・冷やしてアイスにして飲む。(水出しの場合は甘みが引き立ち、まろやか(=遊離アミノ酸)になりますが、プーアル茶にはあまり向きません。緑茶や烏龍茶でお試しください)
以上のような方法でスッキリ飲みやすくなります。
保管方法
基本的には、直射日光に当たらない風通しの良い涼しいところに保管するのがベストです。カビが発生しやすい多湿環境での保管は特に避けましょう。 保管環境や容器によって匂い移りがありますので気をつけて下さい。
「夏季の保管方法」
カビや虫が発生しやすい夏場には最適な環境を確保するのが難しいものですが、やはり陽が射さず、風が良く通る涼しいところに保管するのがベストです。(冷蔵庫での保管はあまりお勧めできません。湿度が高いですし、庫内の匂いをお茶が瞬時に吸収してしまいます。どうしても言う場合は、ガスバリアー性の高い袋で、風味が損なわれないように注意して保管してください)
「長く置くほど美味しくなる?」
適した環境で長期間保存すれば、プーアル茶は美味しくなります(生茶、熟茶を問わず)。それは保存中に可溶成分が増加し豊かな味わいが生まれるからです。これは発酵や焙煎を利かせた烏龍茶(例えば岩茶や炭焙鉄観音など)にも当てはまります。新茶時には個性を主張しあっていたそれぞれの呈味成分の間に程よい調和が生まれ、時間が経つとバランスの取れた風味が実現するからです。
